📊 KPI / KGI ラボ

KPI / KGI ガイド

概要

定義

KGI(Key Goal Indicator)は最終的に到達したいゴール(例: 売上, MRR, 利益, NPS)。
KPI(Key Performance Indicator)はKGIに到達するための途中経過を測る主要指標(例: セッション, CVR, 継続率)。

KGIは Lagging(結果) 指標、KPIは Leading(先行) 指標になりやすい、という位置づけを意識します。

よくある誤解

  • 測りやすい数値(PV等)=重要とは限らない
  • 指標は増やすより、仮説に紐づく少数精鋭
  • ダッシュボード化は目的ではなく、意思決定が目的

原則

  • SMART: Specific / Measurable / Achievable / Relevant / Time-bound
  • KPIツリーで因果を明文化
  • レビュー頻度を決める(例: 週次はKPI、月次はKGI)

基本

KPIツリー(例)


KGI: 月間売上
 ├─ トラフィック × CVR × 平均注文額
 │   ├─ トラフィック = SEO + 広告 + 直打ち + 再訪
 │   ├─ CVR = 商品訴求 × カート投入率 × 決済成功率
 │   └─ 平均注文額 = セット率 × アップセル率
            

先行/遅行指標

  • Leading セッション, Aha体験到達, カート投入
  • Lagging 売上, 利益, MRR, LTV
  • 先行指標の改善が遅行に効く論拠を仮説として明文化

基礎

指標の階層

  • North Star Metric(NSM)
  • KGI / 企業目標(例: 利益率)
  • 主要KPI(例: Activation率, Retention D30)
  • 補助指標(例: 直帰率, スクロール深度)

OKRとKPIの違い

  • OKR = 変化/挑戦のための目標管理
  • KPI = 安定運用/監視のための数値管理
  • 運用:OKRは四半期レビュー、KPIは週次モニタ

どういう時に使うの?

  • 新規事業の仮説検証(MVP→PMF)
  • 既存プロダクトの成長課題特定(AARRRのどこが詰まっているか)
  • 運用の品質監視(SLO・エラーバジェットと併用)
  • 組織横断の合意形成(KPIツリーで用語と計算式を統一)

導入

  1. KGIを1~2個に絞る(例: MRR, 利益)
  2. KPIツリーで分解(計算式とデータソースを明記)
  3. 計測基盤を整備(トラッキング設計、命名規約、イベント表)
  4. 可視化(ダッシュボード/アラート)
  5. 運用(レビュー頻度・担当・閾値)

開発現場

実装の型

  • events: name, params(user_id, session_id, value...)
  • ETL/ELT: ローデータ→集計テーブル(日/週/月)
  • 定義の単一ソース:SQL View or dbt

品質チェック

  • トラッキングE2Eテスト(計測漏れ検知)
  • ダッシュボード差分監視(前週/前年同週)
  • アラート(閾値, 変化率, 異常検知)

KGIとKPIの詳細

KGIとKPIの違いや関係性を理解することは、効果的な目標設定と達成に向けた戦略を立てる上で重要です。

1. KGIとKPIとは?

KGI(Key Goal Indicator) は最終的に達成したいゴールの達成度を示す 結果指標
KPI(Key Performance Indicator) はKGIの達成に向けて日々・週次で追う プロセス指標 です。

「KGI=何を達成したいか」「KPI=達成のために何をどれだけ進めるか」と覚えると分かりやすいです。

2. KGI:定義・役割・例

定義

組織やプロジェクトの最終成果を数値化した指標。定量で測れることが前提です。

役割

  • 全体の方向性・ゴールを明確化
  • 最終成果の達成度を客観評価

具体例

  • 年間売上高 10億円
  • 営業利益率 15%
  • 顧客満足度(CS)90%
  • 月間アクティブユーザー(MAU)50万人

3. KPI:定義・役割・例

定義

KGIを達成するための活動・プロセスの進捗を数値化する指標。短いサイクルで測定・改善します。

役割

  • 進捗の可視化と早期の手当て
  • ボトルネックの特定(どこを改善すべきか)

具体例

  • 月間訪問者数 500万人
  • 成約率(CVR)20%
  • 問い合わせ件数 300件/月
  • 平均初回応答時間 2時間以内
  • 研修受講率 80%以上

4. KGIとKPIの関係

KPIはKGIを達成するための手段です。KGIが「年間売上10億円」の場合、下記のように分解してKPIを設計します。

年間売上 = 訪問者数 × 成約率 × 平均単価
 ├─ 訪問者数:SEO流入 + 広告流入 + SNS流入 + 再訪
 ├─ 成約率:商品訴求力 × UX改善 × 決済成功率
 └─ 平均単価:セット率 × アップセル率

KPIは「測りやすい数」ではなく、「KGIに効く因果」を持つものを少数精鋭で。

5. SMARTの法則(良い指標の条件)

要素意味設計ポイント
Specific具体的誰が・何を・いつまでに・どの程度を明確化
Measurable計測可能数値で測れるか、データ源はどこか
Achievable達成可能現実的で、合意可能な水準か
Relevant関連性KGIに直接つながるか、因果が説明できるか
Time-bound期限日/週/月などレビュー頻度と締切があるか

6. KPIツリーで可視化

KGI達成までの要素分解をツリー図にすることで、改善優先度や担当を割り振りやすくなります。

  • 計算式・定義・データソースを明記
  • レビュー頻度(例:KPIは週次、KGIは月次)を決める
  • ダッシュボードと同じ用語を使い、齟齬をなくす

SQL定義の例(CVR)

-- 日次CVR(購入UU / 訪問UU)
CREATE VIEW kpi_daily_cvr AS
SELECT
  DATE(event_time) AS d,
  COUNT(DISTINCT CASE WHEN event_name='purchase' THEN user_id END)
  / NULLIF(COUNT(DISTINCT CASE WHEN event_name='session_start' THEN user_id END),0) AS cvr
FROM events
GROUP BY 1;

7. 設定のメリット

  • 目標の明確化:組織全体の共通言語になり、モチベーションが上がる
  • 進捗の可視化:短いサイクルで改善しやすい
  • 公平な評価:数値ベースで評価でき、主観を排除

8. まとめ

KGI=最終ゴールKPI=ゴールへ向かうプロセス。SMARTとKPIツリーで設計し、少数精鋭の指標で運用しましょう。正しく設定・運用すれば、ゴール達成の確度と速度が上がります。

最新情報

製品アップデートや計測仕様は頻繁に変わるため、ダッシュボード定義の変更履歴をチームで管理しましょう(例: GitでSQL定義をレビュー)。

  • GA4のイベント命名・探索は随時見直し
  • Cookie規制・プライバシー対応(CMP, サーバーサイド計測等)
  • 機械学習/異常検知の活用(急変動の早期検出)

応用 / 発展

逆算プランナー(KGI → KPI)

※単純モデル:売上 ≒ UU × セッション/UU × CVR × ARPU

リテンション視点

  • コホート: D1/D7/D30 Retention
  • LTV = ∑(期間あたり粗利)
  • チャーン率改善は単純な新規増より効くことが多い

ECサイト(売上KGI → ファネルKPI)

  • KGI: 月間売上 1,000万円
  • KSF: 新規転換率 3.0% / 既存CVR 8.0%
  • KPI: 月間セッション 300,000 / カート投入率 10% / 決済成功率 95%
  • Lagging: 売上, 注文件数, ARPU
  • Leading: セッション, CVR, カート投入率, 再訪率

SaaS(MRR KGI → パイレーツ指標)

  • KGI: MRR +300万円/月
  • KPI: サインアップ数, Aha体験到達率, 有料化率, チャーン率
  • AARRR: Acquisition, Activation, Retention, Revenue, Referral

メディア(広告収益)

  • KGI: 月間広告収益 300万円
  • KPI: UU, PV/UU, 平均滞在時間, 広告視認率, CTR
  • 補助指標: 検索流入比率, 直帰率, スクロール深度

おすすめツール

Google Analytics 4 (GA4)

Web/Appの行動計測とファネル可視化。イベント駆動 & 探索レポート。

marketingplatform.google.com

Looker Studio

ダッシュボード可視化。GA4やBigQuery連携でKPI監視。

lookerstudio.google.com

BigQuery

大規模ログのDWH。SQLで指標定義を一元管理。

cloud.google.com

Amplitude

プロダクト分析特化。行動コホートやリテンションKPIに強い。

amplitude.com

Redash

クエリ駆動の軽量BI。ダッシュボード共有に便利。

redash.io

Metabase

オープンソースBI。非エンジニアでもKPIを質問形式で探索。

www.metabase.com

より具体的に

定義をコード化する(サンプルSQL)
-- 例: 日次CVR(購入UU / 訪問UU)
CREATE VIEW kpi_daily_cvr AS
SELECT
  DATE(event_time) AS d,
  COUNT(DISTINCT CASE WHEN event_name = 'purchase' THEN user_id END)
  / NULLIF(COUNT(DISTINCT CASE WHEN event_name = 'session_start' THEN user_id END),0) AS cvr
FROM events
GROUP BY 1;
アラート基準の決め方
  • 閾値: 前週比 -20% など
  • 変化率: 7日移動平均が2σ外
  • 異常検知: 休日/セール等のカレンダー除外を考慮